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肩こり

肩こりとは

肩こりは広く日本人に多くみられる身近な症状ですが、「肩こり」という名称は医学的な診断名ではありません。一般的に、首すじや肩、背中のこわばりやだるさが主な症状とされ、「頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)」という名称で診断されることがあります。特に現代人はパソコンやスマートフォンの頻繁な使用が原因で肩こりを発症しやすいとされています。この症状は慢性化することもあり、何年にもわたって悩まされる方も少なくありません。

肩こりの症状

主な症状は、首の後ろから背中や肩にかけて、筋肉が硬くなったような張りやだるさです。触れた部位の筋肉は指で押すと、硬くて抵抗感を感じることがあります。時には不快な痛みや頭痛、吐き気などが同時に起こることもあり、症状の程度は人によって異なります。
初期段階では、下を向く作業や長時間同じ姿勢でいると症状が出やすいですが、時間の経過と共に症状は軽くなることもあります。しかし、進行すると慢性的になり、数ヶ月以上症状が続くこともあります。

肩こりの原因

肩こりは、首や肩を囲む筋肉の緊張が高まり、疲労物質の蓄積や血行不良が原因とされます。筋肉は体全体に酸素や栄養を運ぶ重要な役割を果たすため、その伸縮運動が血行を促進しますが、疲労や運動不足によって筋肉のポンプ作用が滞ると、血行不良が引き起こされ、肩こりの症状が現れることがあります。
肩こりの要因として、悪い姿勢、長時間のデスクワーク、手や腕の過度な使い方、ストレス、眼の疲れ、体の冷えなどが挙げられます。

肩こりの診断方法

肩こりは、問診や視診、触診、レントゲン検査などを通じて診断されます。特に触診では、首から肩にかけて走行する僧帽筋の筋緊張や圧痛を確認します。ただし、肩こりの症状だけでなく、手のしびれや脱力感、首や肩の可動域制限などがある場合、頚椎や肩関節に他の疾患が合併している可能性が考えられます。
また、肩こりは眼疾患、耳鼻咽喉疾患、高血圧などの随伴症状としても発生することがあります。そのような場合、MRI、血液検査、筋電図検査などを行い、より詳細な精査を行うことがあります。MRI検査が必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。

肩こりの予防方法と治療方法

肩こりの予防には、筋肉の緊張や硬さを改善することや姿勢を正すストレッチが有効です。肩こりの方は、「ストレートネック」や「猫背」などの不良姿勢が多い傾向にあります。
ストレートネックは、頚椎の生理的な前弯(前に弯曲している)が直立になり、背骨に対して頭が前に突き出している姿勢で、首周辺の筋肉の緊張を高めやすく、肩こりの症状を悪化させます。一方、猫背は背中が丸まり、肩甲骨が外側に開いている姿勢で、肩甲骨周囲の筋肉の緊張を高め、肩甲骨の運動を妨げることで肩こりを引き起こす原因になります。
これらの姿勢を改善し、肩こりを予防するためには、正しい姿勢を保つためのエクササイズやストレッチを行うことが重要です。例えば、首、肩、背中の筋肉をほぐすストレッチやバランスボールを使ったエクササイズなどが有効です。また、長時間同じ姿勢を保つ際には、適度な休憩を取り、姿勢を変えることも大切です。

首周りの運動

首の周囲の筋肉をストレッチすることは、ストレートネックの予防や肩こりの軽減に役立ちます。以下は、即座に行える簡単なストレッチ方法を3つ紹介します。

首の後ろの筋肉を和らげるストレッチ

肩こりを引き起こすストレートネックは、後頭下筋群の硬直や姿勢の問題から生じることがあります。そのため、後頭下筋群を緩め、ストレートネックを予防し肩こりを緩和するためのストレッチ方法をご紹介します。

【方法】
  1. 椅子に座り、頭の後ろで手を組みます。
  2. 背筋を伸ばしたまま、あごを引くように首を前に倒して軽く手で押します。
  3. 首の後ろの筋肉がやんわりと伸びていると感じる角度まで曲げて20秒程度ストレッチします。

首の側面の緊張を緩和するストレッチ

僧帽筋は首から肩甲骨にかけて側方についている筋肉で、肩こりのある方のほとんどが硬くなりやすい部位です。この筋肉が硬くなると、首や肩甲骨の動きが制限され、肩こりの症状を悪化させることがあります。
肩こりを予防するためには、僧帽筋のストレッチが有効です。

【方法】
  1. 椅子に座り、肩こりがある側の手を腰の後ろに回します。
  2. 背筋を伸ばしたまま、首を横(肩こりがない側)に倒して、側頭部を軽く手で押します。

  3. 首の側面の筋肉がやんわりと伸びていると感じる角度まで倒して20秒程度ストレッチ します。

首の前面の緊張を緩和するストレッチ

首の前面に位置する胸鎖乳突筋や斜角筋は、ストレートネックの方や下を向いて作業をする人にとって、特に硬くなりやすい傾向にあります。これらの筋肉は自覚症状が少ない部位でもありますが、鎖骨に付着して肩甲骨の適切な動きにも影響を与えています。 そのため、胸鎖乳突筋や斜角筋の緊張を緩和するストレッチを行うことで、首や鎖骨の運動を改善し、肩こりを軽減できます。

【方法】
  1. 椅子に座り、右手で右の鎖骨、左手で左の鎖骨を上から軽く抑えます。
  2. 口を閉じたまま、上を向くように首を後ろに倒していきます。
  3. 首の前面の筋肉がやんわりと伸びていることを感じる角度まで倒して20秒程度ストレッチ します。

※首周りの運動は、いずれも1日1~2セット、できるだけ毎日継続しましょう。

肩甲骨ストレッチ

肩こりを予防するためには肩甲骨の柔軟性を高めることが重要です。特に、猫背の方や長時間デスクワークをする人は肩甲骨の硬さを改善するためにストレッチを行うことが改善に役立ちます。以下に、座ったままでできる肩甲骨のストレッチ方法を2つご紹介します。

肩甲骨を内側に寄せるストレッチ

このストレッチは、猫背を防ぐだけでなく、肩こりを予防する効果が期待できます。

【方法】
  1. 椅子に座り、大きく息を吸って両腕を外に開いて胸を張ります。
  2. さらに肩甲骨を内側に引き寄せ、息を吐くと同時に脱力します。

  3. この動作を5〜10回繰り返します。

肩甲骨を上下に回旋させるストレッチ

このストレッチは、僧帽筋を活性化させ、肩こりを予防するのに役立ちます。

【方法】
  1.  椅子に座り、背筋を伸ばして両手を上にバンザイするように上げます。
    この時、手のひらは正面を向けます。

  2. 上に挙げた手を真横から下ろしながら、肘を曲げて脇腹に付くようにして胸を張ります。

  3. さらに肩甲骨を内側に寄せ、胸を張ります。
  4. これを5〜10回繰り返します。

物理療法

温熱療法は、患部を温めることで血行を促進し、筋肉の緊張を和らげ、こりや痛みを緩和する治療手法です。その他にも、新陳代謝の活性化や疲労の回復、組織の修復促進などの効果が期待されます。また当院では症状が長く続いている難治例に対しては3Dシフト干渉波を用いた干渉電流型低周波治療器(フィジオ5D)や圧力波治療器(ショックマスター)を用いて積極的に治す治療を行います。

薬物療法

肩こりの薬物療法には、内服(消炎鎮痛剤や筋弛緩剤)、湿布薬、塗り薬が一般的に使われます。時にはエコーを見ながらハイドロリリースやトリガーポイント注射も行われることがあります。

肩こりに関するよくある質問

肩こりや痛みの原因は何ですか?

肩こりは、肩や首周辺の筋肉が血流不良や疲労蓄積によって引き起こされることがあります。これは長時間のデスクワーク、悪い姿勢、重たいバッグを肩に掛けること、または腕を過度に使うことなど、日常の習慣や負荷が原因となっていることが多いです。

肩こりの治療は何科に行けば良いですか?

整形外科で診察を受け、適切な治療方法を選択することをお勧めします。肩こりといっても、頚椎や肩関節に潜む問題や、深刻な疾患の可能性もあります。医師による診断を受けないまま、適切でない治療を行うと、症状が悪化する恐れがありますので、しっかりと診断を受けることが重要です。肩こりや肩痛が心筋梗塞など内科疾患など他科疾患の症状としても出ることがあるため注意が必要です。

肩こりはどのくらいの期間で改善されますか?

肩こりの改善には個人差があります。日常の生活習慣や姿勢、体質などにより、肩こりの症状や回復期間は異なります。適切な治療を受けることや日常の習慣を見直し、肩や首への負担を減らすことが早期改善の鍵となります。